さんてんびこりんの日記

グリーフケアを広めたいと思いブログを始めました。良かったら覗いてみてください。

虹の橋を渡った天ちゃん

前回のブログから半年以上たってしまいました。

天ちゃんは前回のブログ投稿から数日後に虹の橋を渡りました。

 

天ちゃんは寝たきりなったのは数日だけでした。

下血してご飯を食べなくなったあと、天ちゃんが好きな場所で寝かせたりしていました。

夜は今まで通り一緒に寝室で寝ていました。いつも、私と夫の間の頭よりにいたのでもちろんその場所です。

天ちゃんとビーコだけ寝室で一緒に寝ていましたが、その日はリビングに居る林檎とサンダーがやけに吠えていたので、その2匹も寝室に連れてきました。

早朝、目が覚めて私と夫の間に寝ていた天ちゃんをみると、息がすごく弱くなっていました。

夫とほかの犬の散歩をしてから天ちゃんをリビングに移動させようかと相談していました。すると、天ちゃんの身体が大きくビクッとし、びっくりしてみると呼吸が止まっていました。天ちゃんは私たち夫婦の間で、ほかの犬たちも皆がいるこの空間で旅立つことを選んでくれました。この瞬間は他の誰にも見せない姿。私たち家族の宝物の時間だと思っています。

今、このブログを書きながらウルウルしています。もちろん哀しかったですが、この瞬間に旅立つことを選んでくれた天ちゃんに感謝しました。

天ちゃん、みんながいる時を選んでくれて本当にありがとう。

天ちゃんの天真爛漫自由でマイペースなその姿が幾度となく、私たちに笑顔を運んでくれました。天ちゃんてこんなにすごいんだよと自慢したいことがたくさんあります。

天ちゃんの終末期はちょうどグリーフケアの学習と平行していたので、前回までのブログのように内省していることが多くありました。天ちゃんは幸せでいてくれたと思うけど、やっぱり後悔もあるし、はたして天ちゃんの尊厳はまもれていたのかな。

天ちゃんは寝たきりなる前まで歯磨きをして歯磨きのあとおやつ探しもしていました。

このことと一緒に、天ちゃんが虹の橋を渡ったことをノーズワークを教えてもらっていたトレーナーさんに報告しました。その時に頂いたメッセージです。

「亡くなる直前までクンクンできてたなんて、本当に幸せで心のあったまるお話です。鼻は犬のプライド。天ちゃんは満たされて、心のお土産をたくさん持って、武勇伝もたくさんもって旅にでたかな。ありがとう。ありがとう。」

このメッセージを頂いて、少しは天ちゃんの尊厳を守ることが出来たかもと思えて、号泣してしまいました。

 

天ちゃんとお別れしてもう7か月を迎えようとしていますが、寂しいです。

そして、想いでがだんだんと薄れてくることで、またグリーフが起こります。

こうして、ブログを書いていると写真を見直したり、どうだったかなと思いだしたりするので、キラキラした天ちゃんもよみがえってきます。

 

私はグリーフケアの勉強や今までの看護師の仕事を通して、「想い出」がとても大切だと思っています。グリーフでぽっかりと大きな穴が開いてしまった心を少し埋めてくれるものは楽しかったり、驚いたりと日々の日常的な様々な想い出なのではないでしょうか。哀しい心でしんみりしていても、この楽しい想いでが浮かんで来たらやっぱり微笑んでしまいます。哀しくても前を向くための支えになってくれるのではないかと私は思っています。

なので、夫と天ちゃんのどんなことを想い出すかなど、時々、話をしています。

 

天ちゃんとの生活は4年ちょっと。

天ちゃんは本当に個性的で、顔もおじいさん顔だし、嫌なこともやりたいことも自己主張が強いし。笑いと驚きが絶えませんでした。

旅立ちの時は粋な計らいもしてくれたし。

こんな子はそうそう出会えない。

天ちゃん、ありがとう!また会おうね。

 

 

私は天ちゃんが虹の橋を渡ったことで大きなグリーフを抱えました。

まだまだ、時々哀しくなってしまうこともありますが、そんな時は楽しかった天ちゃんとの生活を思い出すようにしています。

クスっと笑えるような。

これからも、ほかの犬たちと家族で楽しい想い出を重ねて生きていこうと思います。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

 

 

動物の尊厳~天ちゃんの介護から~

ブログを更新しなくちゃと思っている毎日ですが、あっという間に2週間が過ぎました。

天ちゃんの介護をしながら、動物医療グリーフケアセミナーを受けているといろいろなことを考えます。前回のセミナーのテーマが「安楽死尊厳死」で、私は複雑な感情を持ちまだまだ受け止め切れていないけれどもとても刺激を受けました。セミナーを受けている時はわかったような気持ちになるのですが、なかなか、文字や言葉にしようとすると自分の理解が進んでいないことがわかります。ですので、今回は「動物の尊厳」について天ちゃんの介護を振り返りながら考えてみようと思います。

 

【尊厳とは】

辞書で尊厳を調べると「尊くおごそかなこと」「気高く犯しがたいこと」と書かれています。

個人の尊厳となると、個人の価値がまもられその人らしさが守られること、個人が尊重されることを意味すると考えます。

そうなると、動物の尊厳は「動物らしく生きることが守られること」と考えてよいのではないでしょうか。

阿部美奈子先生は、動物は体調が悪いと自己防衛本能が高まり安全を確保する動きをするため、具合がわるいときこそ動物目線の安全基地を整えることが重要であり、尊厳を守ることにつながるといわれています。

 

【天ちゃんの経過】

天ちゃんは、前回のブログアップのあと、後ろ足が動かなくなり歩けなくなりました。かかりつけ医に見てもらったところ脊髄疾患だろうという見解でした。しかし、翌日にはまた動けるようになり、ごはんを食べることにありったけのエネルギーを注ぎ、それ以外は要求吠えで私たちのサポートを受けてエネルギー温存するという「エネルギー温存生活」をしていました。

2週間くらいは大きな変化もなく過ごしていましたが、甲高い要求吠えが鳴りを潜めてきました。食欲やエネルギー温存生活は継続されていましたが、なにか力の弱さを感じました。

そして、うんちに血が混じった、その翌日にご飯を食べなくなりました。かかりつけ医に受診しエコー検査をしてもらいましたが大きな病状の変化ははっきりせず、腹水はなかったので皮下点滴と吐き気止めをして帰宅しました。天ちゃんは一日のほとんどを寝て過ごしていますが、水を飲みたいとき、オシッコ、うんちの時は体をもぞもぞさせていました。

【天ちゃんの尊厳を考える】

私と夫は天ちゃんの肝臓腫瘍がわかったときに、腎臓の療法食はするが天ちゃんの楽しみも維持できるようにし、食べられなくなったときに点滴をするかはまた考えると方針を決めていました。食べられなくなった前日までは本当によく食べていて、ぐったり寝て、動けず、食べないという変化は突然の大きな変化で私たちはそれなりの衝撃をうけました。そして、方針通り、点滴をするかどうかかかりつけ医と相談して、皮下点滴をしました。

飼い主として食欲は「生きる力」ととらえ、介護生活の心のささえとなっていたので、なんとか食べてもらえないかと思いました。しかし、天ちゃんが食べないのであれば無理に食べさせることはしないようにしました。飲水に関しても同様の対応をとしました。

点滴はもちろん天ちゃんの身体がすこしでも楽になるために行いました。

しかし、天ちゃんが生命を維持するために食べ物を身体に取り込まないのだとしたら、消化吸収にもエネルギーを使うので、皮下点滴も天ちゃんが必死に身体を守ろうとしている邪魔をしていることになるのかもしれません。もしそうであれば、それは天ちゃんの意志に反してしまうので尊厳が守られていないなのかもしれません。

寝る場所は、フカフカのお布団に寝かせてあげたいと思いましたが、基本的に床が好きなのでなるべく床に近い状態の場所に寝かせることにしました。

私や夫の姿が見えるところには居たそうだったので見える場所に寝かせるようにしました。

そして、いつもの天ちゃんを考えながら整えた環境で、穏やかに呼吸をして天ちゃんは静かに寝ています。

あとは、私たちがいつものように「天ちゃん可愛い」「天ちゃん大好き」といつもの声掛けをすることで天ちゃんの療養の場がいつもの天ちゃんの居場所になればと思います。

阿部美奈子先生はセミナーの中でペットを擬人化することで、動物の価値観ではなく、人の価値観をあてはめて考えてしまいがちだが、動物たちが安全なエンディングを迎えるためには動物目線の安全感が

必要だといわれています。動物目線こそが動物を尊重し動物の尊厳を守ることにつながると考えてよいと思います。

天ちゃん目線。天ちゃん目線でいま介護をしているつもりですが、果たして本当に天ちゃん目線になっているのか。でも、いつもの天ちゃんがそこにいれるのであれば、それは少し「天ちゃんらしさ。天ちゃんの尊厳」が守られているのではないのかな。と思いたいです。

まだまだ、「動物の尊厳」つかみ切れていませんが、人間の病気でも「その人らしい意思決定、その人が望む治療選択」ができるように配慮してケアを行います。動物でもその動物が好むことを選択するって、同じことなのだなと思いました。

私としては天ちゃんとお別れなんてしたくないから、腎機能が改善するなら点滴は続けたいと思うけど…。天ちゃんは点滴があんまり好きではないことも知っているし、天ちゃんはおいしいものが食べられない「生」は望んでいないかもしれません。天ちゃんが望むことは何かを常に考えることをぶれないように。

天ちゃんを一番知っている私たち夫婦が、天ちゃんの意志を汲み、それに寄り添い、その行動をサポートし見守ってい行くことが、天ちゃんの尊厳を守ることにつながるのかなと思います。 

 

天ちゃん、天ちゃんの望むこと考えるよ!! 愛してるよ♡

天ちゃんのグリーフを考えてみる

前回は飼い主の目線でグリーフを考えてみました。

今後、起こる喪失を想像して予期的グリーフをかかえたことで、いろんな感情が絡み合っていました。

かかりつけ医では医療提供が困難でしたが、付き合いが長いとうこともあり情緒的なサポートを受けることが出来ました。救急病院では少しのコミュニケーションのすれ違いから不安が高まりましたが、良質な医療提供により安心感がえられました。24時間対応であり、病院にいつも医療スタッフがいたり、毎日の面会も快く向かい入れてくれたことが安心につながりました。

 

【天ちゃんの現状】

天ちゃんのグリーフも胃捻転のことで考えてみようかと思いましたが、もう少し広い範囲で考えてみようと思いました。

天ちゃんは1-2年前から筋力低下が目立ち、歩くときによろよろしていました。病院に相談したりしていましたが、はっきりした原因がわからず経過をみていました。

胃捻転手術の少しまえに腎機能低下がわかり、さらに胃捻転の手術前検査の時に肝臓に複数個の腫瘍があることがわかりました。

筋力低下は腎機能によるたんぱく異化なのか、腫瘍によるものなのか。検査はしていないので原因ははっきりしませんが、天ちゃんの人生の終わりがどうも身近になってきているのだと思いました。

胃捻転の治療後は回復し食事もよく食べるようになりましたが、筋力低下は日ごとに進んでいるように思います。

筋力低下の進行が早く感じたり、腎不全の症状が悪くなってきているように思えたので、夫と天ちゃんの今後の治療に関して話し合いました。腎不全に対しては療法食をするが、天ちゃんの好きなものも食べられるようにすることにしました。肝臓の腫瘍は生検して診断がついて初めて治療となること。治療は手術による肝切除か抗がん剤といわれたため、肝臓への積極的な治療はやめ、かかりつけ医に勧められたサプリメントを始めることにしました。血液検査を頻繁にするのはやめ、点滴は食べられなくなったときにまた考えることにしました。



【天ちゃんのグリーフ】

天ちゃんのグリーフを考えてみます。私は最初は犬目線でのグリーフを考えるのがなかなか難しかったのですが、動物医療グリーフケアで事例を聞かせてもらうことで少しずつ、想像することが出来るようになってきました。

天ちゃんはうちに来た時は(4年前)ボールで遊ぶのが大好きでした。階段の登り降りもしっかりしていました。そして、廊下を走り回ったりもしていました。

いつくらいからか、ボールで遊ばなくなり、階段の登り降りをしなくなりました。

病気や高齢になることで天ちゃんが楽しんでいた遊びや、活動低下により自由が制限されていきました。これらはすべて天ちゃんのグリーフだと思います。

動物医療グリーフケアで阿部美奈子先生は、「犬は病気を頭で理解できないから、人間みたいに先のことを考えて不安になったりせず、まっすぐに生きるんです。」と言われています。そして、犬にとっての最大のグリーフは自分が安心できる居場所を失うことだといわれています。

天ちゃんは病気により多くの楽しみを失いましたが、今もまっすぐ生きています。天ちゃんはいま長い距離をあるくことが出来なくなりましたが、おなかはすいておいしく食事ができます。天ちゃんは食事の時は病気だとは思えないような勢いでご飯のお皿のところに歩いて来ます。でも、オシッコ、うんち、のどがわいた、うまく立てない、寝返りを打ちたいなどについては吠えて私を呼びます。天ちゃんは最優先の食べるという行動に全力なんだなーと思うと少し笑いがこぼれます。

そして、阿部美奈子先生がいう天ちゃんの安全基地(愛着のある居場所)を守る事と、天ちゃんが今できることをサポートしていこうと思いました。

天ちゃんはボール遊びはしなくなったけど、歯磨きやおやつ探し、コングなどで楽しむことが出来ます。自由に動けなくなっていますが、吠えて知らせることができます。

食事は腎臓サポート食にしているので、なれた食事ではないけど、鶏肉や馬肉をトッピングしたりして「美味しい」も楽しむことが出来るようにと思っています。

天ちゃんんがこれからも安心してまっすぐに生きられるようにと思います。



私は看護師という仕事柄、人生の終末を迎える方々の傍らに居させてもらう経験を多くしています。治療や生きることに果敢に挑んでいる姿は、「最後まで自分らしく生きる」という姿で「死にゆく」のではなく「生き貫く」姿なのだと感じました。まっすぐ生きるってそういうことなのかなって思いました。旅立つの瞬間まで天ちゃんは生きているのだから、哀しむだけではなく、今その瞬間を大切にし一緒に生きたいと思います。

 

天ちゃん、まだまだ。楽しく生きていこうね♡

 

 

天ちゃんが胃捻転に…

我が家の長男の天ちゃんが胃捻転になりました。

その体験を振り返ってみようと思います。

死別ではないので、阿部美奈子先生の医療グリーフケアの視点で考えてみようかと思います。

阿部先生はグリーフは直訳すると悲嘆・嘆きと訳されます。グリーフケアでは「自分の大切な対象をなくしたり、なくすかもしれないと想像したときにおこる心情」ととらえます。

また、ペットにとっての安心や安全を脅かされることでペットもグリーフを抱えるといわれています。

【グリーフの心理プロセス】*阿部先生は下記のように紹介されていました。

・衝撃期:ショック、無感覚、思考困難、否認

・悲痛期:悲しみ、後悔、自責、怒り、罪悪感、孤独感、見捨てられ感、期待

・回復期:現実受容、断念、肯定的思想、立ち直り、

・再生期:再出発、希望、自立、新たな出会い

 

さて、天ちゃんです。14歳のミニチュアダックスのおじいちゃん。

動物保護団体から10歳の時に我が家へやってきました。

*経過*

天ちゃんが夜に急に嘔気をもようし、胴体が異常に膨れ上がりました。急いでかかりつけ医に受診しましたが、天ちゃんはどんどん生気を失っていってました。胃捻転の可能性が高いというこで、相談の結果、膨満した胃を穿刺してガスを抜く処置をして救急病院を受診することにしました。穿刺後は天ちゃんの呼吸が安定し少し生気が戻ってきました。

救急病院に到着するとかかりつけ医からすでに天ちゃんの状態報告がされており、すぐに診療、検査が始まりました。胃捻転の診断をうけ手術が決まりました。発症後、6時間以内に手術すると予後がよいと説明をうけたのですが、手術開始予定は6時間ぎりぎりでした。わがままを承知で、医師に「なるべく早く手術をお願いします」といったところ、医師に「外来患者もいるので現状をご了承ください。」と言われました。

帰宅し、手術が終了し臓器の血流も比較的よく、予後は良さそうだと報告を受けたときは安心して号泣でした。

翌日、かかりつけ医から電話があり、無事に手術が終わったこと、手術をすぐにしてもらえなくて不安だったことをお伝えしました。すると、「手術の前に点滴をしたりして循環を安定させたりする必要もあるから、開始時間が遅くなったのかもしれないですね」「気になっていたので無事に手術が終わって安心しました。油断せずに経過を見ていきましょう。」「自分で手術はしてあげられなく申し訳なかったが、生きて紹介した病院から帰ってきてほしいから、少しでも治療がスムーズにできるように自分ができることをしただけです。」と言われました。

 

*私の心情*

私の心情を振りかえってみようと思います。

私は天ちゃんの生気がすごい速さで失われていくことで、「このままじゃ天ちゃんが死んじゃう!」と死を意識して不安が大きくなりました。不安と同時に焦りもあり落ち着かず、冷静ではいられませんでした。処置の結果、天ちゃんの生気が戻ってきたことで時間の猶予ができたと、天ちゃんの救命の希望が少し見えました。

救急病院では、私は胃捻転が時間との勝負である病気だと知っていたので、すぐ診察を受けられたことで、「すぐ手術してもらえば、天ちゃんが助かる!」とまた希望がもてました。しかし、手術時間が期待と違い遅く、「え、それじゃ胃の血流が悪くなっちゃうじゃん。少しでも早く手術してよ!」と不安とともに怒りの感情が生まれました。

さらに、「他の受診がなければ早く手術してもらえるのに」と怒りは医師にだけではなく、救急外来に受診するほかのペットたちにも生まれました。

そして、先生の「現状を了承してください」という言葉にも理不尽さ、怒りを感じました。多分、顔はムッとしていたのではないかと思います。

手術が終わるのを待つ間は、夫も私も無言で空気が張り詰めていました。医師への怒りやどうにもならない現状に対する理不尽さが反芻されるようでした。

手術終了の電話を受けたときは、医師の説明は適格で丁寧でした。患犬の困った家族であった私にも普通に接してくれたこと、無事に手術をしてくれたことに感謝のきもちがありました。そして、緊張感が緩み涙がこぼれました。



*考察*

かかりつけ医は一人でやっている病院でした。マンパワーの関係などで救急疾患に対する対応ではあまり期待できない状況でしたが、今回の対応は不安な中で希望や安心を生み大きなサポートとなりました。特に、手術について、ショック状態だった天ちゃんの循環を安定させてから手術することは重要と思えたので、手術までの待ち時間が私にとって不毛の時間だったものが意味ある時間に変わりました。かかりつけ医の対応が悲痛期における孤独感や見捨てられ感などに対するグリーフケアだったのだと思います。

また、「ここで手術してもらえない」現状には不安は少しあるものの怒りは生まれませんでした。24時間対応してくれる病院をかかりつけにしたいと思うこともありますが、今回のことで「この先生でよかった」と思えました。これは、かかりつけ医のグリーフケアがあったからこそだと思います。

救急病院は、救命が優先されますし、スタッフともなじみがありません。対応は丁寧だし現状でできる最善のことは実践してくれていると感じ、安心感を与えるグリーフケアだったと思います。それでも、おおきな不安の中ではちょっとした言葉尻に不安を感じ怒りが生まれました。その大きな不安は同じように愛するペットを守るために受診している他者にも怒りを生み、さらにその怒りを持った自分にも自責の念もおこり、怒りが怒りを呼ぶという連鎖がありました。最終的に手術が無事に成功したことでほとんどの怒りはなくなりました。阿部先生は「怒りは極限の哀しみの表現」言っていますが、私はまさにそのような状況だったのだと思います。

小さい期待や見捨てられ感などの悲痛期での心情がケアされず、大きな怒りとなったと考えます。しかし、救急病院では救命が優先される特徴もあり対応困難なことが多いでしょう。自分が陥る心理過程を知っていれば少し冷静になれるのではないでしょうか。セルフケアで自分の気持ちを整理し、落ち着くことは我が子の治療をすすめるチームの一員として、私のできるのことなのかなと思いました。

 

*終わりに*

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

レポートには書きませんでしたが、かかりつけ医受診時に実は衝撃期の思考困難がありました。そこは夫がフォローしてくれました(^_-)-☆

今回、天ちゃんの胃捻転に関わったすべての医療従事者、夫、張り詰めた空気の中で静かに寄り添ってくれたうちの犬たちに感謝です。

次は、天ちゃんのグリーフに着目してみようかな。

 

*今回参考にした資料*

PEPPY Web ライブセミナー 第6期動物医療ケア 資料

阿部美奈子著:犬と私の交換日記 獣医師が考えた愛犬とあなたのきずなを深める50の  

       質問、二見書房、2022.

ペットロスとグリーフケア

グリーフ(grief)は直訳すると悲嘆、嘆き、深い悲しみという意味です。

グリーフケアにおけるグリーフは喪失による悲嘆反応

 

看護師を生業としていた私はグリーフという言葉は以前から何となく知っていましたが、深く学んでみようと思ったのではペットを見送る哀しみがきっかけでした。

実家で両親ととも家族として一緒に過ごした犬たちの生き貫く姿を見送ってきました。結婚して両親のもとを離れ、初めて自分主体で犬と暮らし始め、初めて自分の犬を見送ったとき、今までとは違う何かを感じました。それは責任の重さともいえるのかもしれません。

そして、犬友だちもそれぞれ自分の犬をみおくっていくなか、周囲の友人に励まされてきました。

セカンドキャリアとしてなにか犬に関わる活動ができたらと思っていましたが、しつけやトレーニングではあまり成果を出すこともできず…。グリーフケアなら今までのキャリア生かして、なにか役に立つことができるかもと思いました。友だちの応援もありグリーフケアを学んでみることを決めました。

 

まずは、グリーフケア専門士協会とうところで学び始めました。もう少し、犬や動物のことも知りたいと感じ、阿部美奈子先生の動物医療グリーフケアの講義も受けてみることにしました。

グリーフケア専門士協会での学びは幅広く、自分の今までのキャリアの中で感じたグリーフにも気づくことが出来ました。

動物医療グリーフケアでは知識が少なかった動物の世界についての学びが得られています。

グリーフケア・ペットロスケアでの発展途上の私ではありますがブログを通じて、グリーフケアについて発信していきたいと思っています。

そして、もしも、深い哀しみを抱えるかたのお役にたつことができたら幸いです。