さんてんびこりんの日記

グリーフケアを広めたいと思いブログを始めました。良かったら覗いてみてください。

動物の尊厳~天ちゃんの介護から~

ブログを更新しなくちゃと思っている毎日ですが、あっという間に2週間が過ぎました。

天ちゃんの介護をしながら、動物医療グリーフケアセミナーを受けているといろいろなことを考えます。前回のセミナーのテーマが「安楽死尊厳死」で、私は複雑な感情を持ちまだまだ受け止め切れていないけれどもとても刺激を受けました。セミナーを受けている時はわかったような気持ちになるのですが、なかなか、文字や言葉にしようとすると自分の理解が進んでいないことがわかります。ですので、今回は「動物の尊厳」について天ちゃんの介護を振り返りながら考えてみようと思います。

 

【尊厳とは】

辞書で尊厳を調べると「尊くおごそかなこと」「気高く犯しがたいこと」と書かれています。

個人の尊厳となると、個人の価値がまもられその人らしさが守られること、個人が尊重されることを意味すると考えます。

そうなると、動物の尊厳は「動物らしく生きることが守られること」と考えてよいのではないでしょうか。

阿部美奈子先生は、動物は体調が悪いと自己防衛本能が高まり安全を確保する動きをするため、具合がわるいときこそ動物目線の安全基地を整えることが重要であり、尊厳を守ることにつながるといわれています。

 

【天ちゃんの経過】

天ちゃんは、前回のブログアップのあと、後ろ足が動かなくなり歩けなくなりました。かかりつけ医に見てもらったところ脊髄疾患だろうという見解でした。しかし、翌日にはまた動けるようになり、ごはんを食べることにありったけのエネルギーを注ぎ、それ以外は要求吠えで私たちのサポートを受けてエネルギー温存するという「エネルギー温存生活」をしていました。

2週間くらいは大きな変化もなく過ごしていましたが、甲高い要求吠えが鳴りを潜めてきました。食欲やエネルギー温存生活は継続されていましたが、なにか力の弱さを感じました。

そして、うんちに血が混じった、その翌日にご飯を食べなくなりました。かかりつけ医に受診しエコー検査をしてもらいましたが大きな病状の変化ははっきりせず、腹水はなかったので皮下点滴と吐き気止めをして帰宅しました。天ちゃんは一日のほとんどを寝て過ごしていますが、水を飲みたいとき、オシッコ、うんちの時は体をもぞもぞさせていました。

【天ちゃんの尊厳を考える】

私と夫は天ちゃんの肝臓腫瘍がわかったときに、腎臓の療法食はするが天ちゃんの楽しみも維持できるようにし、食べられなくなったときに点滴をするかはまた考えると方針を決めていました。食べられなくなった前日までは本当によく食べていて、ぐったり寝て、動けず、食べないという変化は突然の大きな変化で私たちはそれなりの衝撃をうけました。そして、方針通り、点滴をするかどうかかかりつけ医と相談して、皮下点滴をしました。

飼い主として食欲は「生きる力」ととらえ、介護生活の心のささえとなっていたので、なんとか食べてもらえないかと思いました。しかし、天ちゃんが食べないのであれば無理に食べさせることはしないようにしました。飲水に関しても同様の対応をとしました。

点滴はもちろん天ちゃんの身体がすこしでも楽になるために行いました。

しかし、天ちゃんが生命を維持するために食べ物を身体に取り込まないのだとしたら、消化吸収にもエネルギーを使うので、皮下点滴も天ちゃんが必死に身体を守ろうとしている邪魔をしていることになるのかもしれません。もしそうであれば、それは天ちゃんの意志に反してしまうので尊厳が守られていないなのかもしれません。

寝る場所は、フカフカのお布団に寝かせてあげたいと思いましたが、基本的に床が好きなのでなるべく床に近い状態の場所に寝かせることにしました。

私や夫の姿が見えるところには居たそうだったので見える場所に寝かせるようにしました。

そして、いつもの天ちゃんを考えながら整えた環境で、穏やかに呼吸をして天ちゃんは静かに寝ています。

あとは、私たちがいつものように「天ちゃん可愛い」「天ちゃん大好き」といつもの声掛けをすることで天ちゃんの療養の場がいつもの天ちゃんの居場所になればと思います。

阿部美奈子先生はセミナーの中でペットを擬人化することで、動物の価値観ではなく、人の価値観をあてはめて考えてしまいがちだが、動物たちが安全なエンディングを迎えるためには動物目線の安全感が

必要だといわれています。動物目線こそが動物を尊重し動物の尊厳を守ることにつながると考えてよいと思います。

天ちゃん目線。天ちゃん目線でいま介護をしているつもりですが、果たして本当に天ちゃん目線になっているのか。でも、いつもの天ちゃんがそこにいれるのであれば、それは少し「天ちゃんらしさ。天ちゃんの尊厳」が守られているのではないのかな。と思いたいです。

まだまだ、「動物の尊厳」つかみ切れていませんが、人間の病気でも「その人らしい意思決定、その人が望む治療選択」ができるように配慮してケアを行います。動物でもその動物が好むことを選択するって、同じことなのだなと思いました。

私としては天ちゃんとお別れなんてしたくないから、腎機能が改善するなら点滴は続けたいと思うけど…。天ちゃんは点滴があんまり好きではないことも知っているし、天ちゃんはおいしいものが食べられない「生」は望んでいないかもしれません。天ちゃんが望むことは何かを常に考えることをぶれないように。

天ちゃんを一番知っている私たち夫婦が、天ちゃんの意志を汲み、それに寄り添い、その行動をサポートし見守ってい行くことが、天ちゃんの尊厳を守ることにつながるのかなと思います。 

 

天ちゃん、天ちゃんの望むこと考えるよ!! 愛してるよ♡